春日部張子
種類:紙張り子・他
制作地:埼玉県春日部市
現制作者:五十嵐健二(初代 1943- )、五十嵐俊介(二代目 1971− )
※張り子以外にも手びねりや墨絵など多方面の制作をしているが、ここでは春日部張子として扱う。
1943年生まれで美大を卒業した五十嵐健二は郷土玩具の蒐集家であった。昭和30年代には後継者がなく廃業する郷土玩具制作者が多かった。そのころやはり後継者がなく廃業するつもりであった五関張り子の四代目蓮見豊七の話を聞き、後を継ごうと思い立ち蓮見の元で張り子制作を学んだ。当初は五代目五関張り子を名乗り、五関張り子を復元していた。やがて郷土玩具の後継者として認められるより本当に作りたい自分の張り子をつくっていこうと考え、五代目五関張り子から「春日部張り子」と名乗るようになった。1989年(平成元年)、春日部張子人形店を設立した。
今回は手元にある猫を中心に扱ったがほとんどは20年〜30年ほど前の作品である。特に初期の作品はさらにその前となる。
浅草鷲神社のキャラクター「寿鷲丸」の張り子も春日部張り子(確か俊介さんの作)で張り子面の扱いになっている。
ちなみに長男の俊介さんは会社勤めから本格的に張り子作りに専念して後を継いでいる。江戸大道芸飴細工師(有芽屋四代目)でもあり象眼彫刻師でもある。
次男の五十嵐祐輔さんは「カマクラ張り子」として独立して制作し、音楽活動もおこなっている。
五関張り子 明治年間から蓮見萬太郎(初代)・・・吉三郎(二代目)・・・兵吉(三代目)・・・豊七(四代目)と制作された張り子 達磨や人形、面などを制作した。人形は船渡張り子に類似するものがある 招き猫や猫は制作されていたかは不明。武井武雄(1930)や大久根茂(1976)には制作品の中に招き猫の記載はない。 |
春日部張り子古作 | |||
左手挙げの白猫に黒い斑 | 目にはぼかしが入る | ||
黒の斑には水色の縁取り | 青の首玉をしている | ||
高さ107mm×横93mm×奥行100mm | |||
初期の作品 猫も現在の作りとはかなり異なるが ダルマの顔は現在に繋がるものがある 購入当時は春日部張り子かどうか 確証がないままに購入した 後に五十嵐さんに問い合わせて 初期の作品と確認された もう一点、下のダルマ乗り招き猫があったが 確証がなかったので購入は見送った 今思えば惜しいことをした |
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ダルマには目が入る | |||
以下3枚の画像は掲載許可を得ていません。ご連絡いただければ掲載許可の申請をいたします | |||
目なしダルマに乗る 猫に前垂れが付く | 赤い首玉 | ||
ネット上から これも春日部張り子の古作 購入を見送った作品と同じダルマ乗り招き猫と思われる ひょろっとした尻尾は上のダルマ抱きに似る |
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右手挙げ招き猫 | |||
以下3枚の画像は掲載許可を得ていません。ご連絡いただければ掲載許可の申請をいたします | |||
五十嵐健二初期の作品か? | 赤い首玉に前垂れ | ||
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左の五十嵐健二(1997)に掲載されている 上の初期の作品と面相や彩色は異なるが型は同じ |
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五十嵐健二(1997)より |
手びねり作品 | |
抱かれているブチ猫はしっかり春日部猫の表情をしている | 仔猫抱きの赤トラ |
太い尻尾? | 千両箱に座る |
手びねりの猫抱きトラ猫 おそらく五十嵐作品で最初に購入したもの 正月の全日本郷土玩具展の実演で購入したもの 平成5年(1993)正月吉日とある 高さ128mm×横78mm×奥行72mm |
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平成5年作 |
初代 五十嵐健二さん | |
2002年の全日本郷土玩具店で 手前にあるのは五関張り子の型を用いた作品と思われる |
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2003年 伊勢の招き猫まつりで 毎年決まった場所で出店している |
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2023年の五十嵐さん お気に入り?のカエルのがま口を下げている姿を 何度かお見かけした |
招き猫本舗・玩固庵
匠の箱 玩固庵
広域連携刊行情報誌『motto』 2018冬vol.47 春日部張子人形店
広域連携刊行情報誌『motto』 2018冬vol.47
参考文献
招き猫尽くし (荒川千尋・板東寛司、1999 私家版)
全国郷土玩具ガイド2(畑野栄三、1992 婦女界出版社)
招き猫博覧会(荒川千尋・板東寛二、2001 白石書店)
張り子 伝統から創作へ(五十嵐健二、1997 日貿出版社)
埼玉の張り子(大久根茂、1976 埼玉県立博物館紀要3)
日本郷土玩具 東の部(武井武雄、1930 地平社書房)