編集途中のほぼ完成版です
鴻巣練り物
種類:練り物
制作地:埼玉県鴻巣市人形
現制作者:臼井たみ子→5代目○○○
2021年11月 6日の訪問へ
2021年12月19日の訪問へ
秋元家(相模屋) ↓ ↓ 秋元家より養子 臼井常吉(初代 −昭和10年)・・・・臼井勘助(2代目 −昭和17)・・・・臼井和三郎(3代目 大正13年−昭和58年)・・・○○○ ↓ ↓ ↓ 分家 ・・臼井たみ子(4代目 昭和3年(1928)−2019?) 臼井一郎商店 和三郎の妹 ※4代目は「臼井ゑみ子」の表記の書籍も多く見られるがこれは誤記で4代目は「臼井たみ子」と確認できた。 ※臼井たみ子が亡くなった後、臼井和三郎の家系であとを継いで制作。(お名前を聞いたが失念してしまった) |
大正13年の町内地図 |
鴻巣練り物(臼井常吉商店)
初代臼井常吉は秋元定太郎の弟に当たり、秋元家より臼井家に養子にきた。その際、秋元家から赤物のネタ(原型)を譲り受け、赤物製造を始めたが、やがて独自の原型もつくるようになった。
制作は臼井和三郎が亡くなったあと妹の臼井たみ子に引き継がれた。現在(2021年)は和三郎の家系の方が3年ほど前に引き継いで少数制作をしているようである。招き猫を制作しているかは不明である。
現在、招き猫は白色(三毛)、黒色、朱色(オレンジ)、金色、黄色、灰色(グレー)、杏色が確認できている。
サイズは大中小の3種類。大は挙げた左手と頭の間に穴を開け首玉の紐を通して鈴がついている。中小は首玉と鈴は彩色で描かれている。
どのサイズも左手上げで、右手上げは確認されていない。眼の描き方はアーモンド型と丸目の2種類あるがどのように使い分けられているかは不明である。
サイズと 色 |
白 | 黒 | 黄 | 朱 (オレンジ) |
金 | 灰 (グレー) |
杏 (レンガ) |
赤 | 緑 | 薄小豆 | 水色 |
大 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||
中 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||||
小 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
※サイズは伊勢招福亭ラベル表示も従来の表示基準に従うものとする
臼井常吉商店のサイズ違い招き猫 |
小中大 |
大の色違い 高さ115mm×横68mm×奥行75mm サイズは同じ |
※大中小それぞれのサイズ内でも多少の大きさの変異幅がある
大の白 | |
三毛のぼかし 耳と爪は赤で描かれている | 左手挙げ |
背中、尻尾にも彩色あり | |
目は黄色に黒の瞳と縁取り 三毛の模様あり、背中にもあり 耳は赤、眉毛・ひげは黒、爪・口は赤で 描かれている 左手と首の間に穴を開けてリボンを通している 彩色はされていないが首玉の結び目がある |
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大の黒 | |
目は黄色に黒い瞳、銀の縁取り 模様はなし 耳は赤、眉毛・ひげは銀、 爪・口は赤で描かれている |
大のオレンジ色 | |
丸目 | 耳(の中)は群青で彩色 |
黄色のリボンに鈴 | 斑などの彩色はなし |
目は丸目 模様はなし 耳は青、眉毛・ひげ・爪・口は 銀で描かれている |
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1997年購入 |
中の金色の下地のみ | |
金色に下地が塗られているのみなので 猫の形がよくわかる。 臼井常吉商店で 1997年購入の記録が残っている。 |
小と中 |
白猫は黒(灰色)と茶の斑 赤い首玉に金の鈴が描かれる |
すべて左手挙げ |
背面に斑はなし |
赤い首玉 |
中 高さ87mm×横55mm×奥行59mm 小 高さ55mm×横31mm×奥行34mm 目はすべて丸目 白猫は三毛の彩色があるが裏面にはなし すべて赤の首玉に金の鈴が描かれている |
大中小金色のサイズ違い | |
購入後初めて開封した | エアーパッキンで保護 |
金色の大中小サイズ違い 大きさは他の色と同じ | |
金の下地で斑なし | |
小は緑に黄色の斑点の首玉に銀の鈴 | |
大のみ赤のリボンに鈴がつく | |
金色も他の色とサイズは同じである 大にはリボンを通して鈴がついている。 金ははげやすいので鈴が擦れないようにエアーパッキンで保護されている。 中小はリボンではなく首玉と鈴が彩色によって描かれている。 3点とも臼井常吉商店で1998年購入の記録が残っていた。 |
臼井常吉商店の招き猫 2021年10月伊勢で購入追加分 | |
基本的に手元にない色とサイズを 購入する。 裏面シールの表示には 最も大きな猫(黄色)には中、 次の大きさの猫(黄色・オレンジ色)に小、 最も小さい猫(黄色・・黒)に豆とある。 問題になるのはサイズである。 臼井常吉商店で取材した結果、 底に貼ってあった 吉兆招福亭作成のラベルの 間違いであった。 秋元人形店には もう一回り大きなサイズの 招き猫がある |
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今回追加の6点 | |
臼井常吉商店の招き猫は すべて左手挙げ |
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オレンジ色の大、白と黒の小 | |
サイズはこのページの上部で 「大」 「中」「小」を 参照のこと なお、黄色のみ 目の下地が白で 黒い瞳が描かれている |
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黄色の大、中、小のサイズ違い | |
黄色は今年の招き猫まつりの テーマに合わせたわけではなく 以前からある色 |
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中のみリボンに鈴 | |
尻尾は痕跡だけ残っており、 彩色されていない |
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尻尾に彩色なし | |
「大」のみリボンに鈴 他は赤い首玉に金の鈴が 描かれている |
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小と豆は首玉と鈴が描かれている | |
底のラベル(吉兆招福亭作成)に 中・小・豆とあるが これは間違いである。 |
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底のラベル(吉兆招福亭作成)に中・小・豆とあるが実際には大、中、小 | |
小の色違い 白は若干光沢がある |
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小の色違い オレンジは在庫なしだった | |
左手挙げの招き猫 | |
どのサイズもすべて左手挙げ | |
黒小には首玉が緑の色違いがあった |
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基本は赤の首玉 | |
爪は赤い彩色だが、黒猫は銀色 | |
底の穴から 練り物であることがわかる |
2021年11月6日に鴻巣の様子を見に行った。
臼井常吉商店追加 | |
臼井人形店(臼井常吉商店)はシャッターが降りている | 鴻巣市観光産業館「ひなの里」 |
館内の練り物を中心とした棚 | 臼井常吉商店の作品 |
臼井常吉商店のシャッターが少し上がっていた | |
店内の様子 |
「ひなの里」で購入した作品。先代の臼井たみ子さんの作品のようだ。
グレーの大サイズ | 2021年11月購入 |
珍しいグレーの彩色のサイズ大 眼の描き方は古い作品と同じ (黄色の大のような丸目になっていない) 眼の描き方は古い作品でも 黄色やオレンジのように 丸目がある。 サイズは大とほぼ同じ |
小の招き猫 | 2021年11月購入 |
初めて見る杏色の招き猫 サイズは小を参照 |
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首玉の色は 黒が黄色 杏が赤色で 金色の鈴が描かれている 爪は赤で描かれている |
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いずれも左手挙げ | |
首玉の色は 特に黒猫の場合 赤が中心であるが 黄色や緑など 何色かあるようだ。 |
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白猫にはピンクや黄色の 首玉もあった |
2021年12月19日訪問
再度12月12日と12月19日に訪問した。12月12日はシャッターが降りていたが、12月19日にはシャッターが半分上がっていた。
戸は開いているので中に入り声を掛ける。何度呼んでも出てこない。でも誰かいるのは確実なようだ。何度か声を掛けて女性が姿を現した。どうも干支の彩色をおこなっていた最中のようだ。作業を中断しておじゃましてしまったかな。女性は現在臼井常吉商店で制作をしている方だった。
海老の木型 | 箱に入った招き猫大 | 海老サイズ各種 |
抜いた達磨半面 | ||
獅子と天神 | 白とグレーの招き猫大 | |
福缶にはオレンジ色の招き猫が入った | ||
干支は昨年の丑から作り始めたそうだ | ||
12年前の寅 | 制作中の干支の寅 | |
海老 小 | 海老 ケシ | 寅と同じ色の服の現制作者 |
前回購入した海老 大?(左) 今回購入の海老 ケシ(下左)と小(下右) |
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お名前を聞いたが記録する前に失念した。臼井たみ子さんは2年ほど前に亡くなったとのこと。現在引き継いで3年ほど前から制作しているとのこと。「ひなの里」で絵付け指導もしているそうだ。鴻巣の赤物制作者が減る中、国の重要無形民俗文化財に指定された『赤物制作技術』を受け継ぐ使命感をお話の中に感じ取れた。今回は残念ながらお名前がわからなくなってしまったが、連絡方法は確保したので次回訪問するときもう少しお話を伺うこととしよう。
薄小豆色とグレーの大 | 2021年12月購入 |
色の表現が難しい薄小豆色と以前と同じグレーの招き猫大 グレーの猫は以前のものと爪の色が異なる |
各色の小 |
緑(黄緑)、水色、赤、黒の小 他にも以前紹介した白、黄色、朱(オレンジ)、金、灰(グレー)、杏(レンガ)などがある。 赤と黒は表面に光沢があるため外光を反射してしまっている。 これまでに購入したものは光沢がない。 首玉に模様の入ったものもある。 カラフルな招き猫は何種類あるのかは不明。 太刀屋のような風水関係の依頼なのかも不明。 |
赤は初めて見かけたが、現在購入できる赤物招き猫としては太刀屋の赤物招き猫と2種類になった。
参考文献
招き猫尽くし (荒川千尋・板東寛司、1999 私家版)
全国郷土玩具ガイド2(畑野栄三、1992 婦女界出版社)
おもちゃ通信200号(平田嘉一、1996 全国郷土玩具友の会近畿支部)
埼玉県民俗工芸調査報告 第14集 鴻巣の赤物(埼玉県立民俗文化センター、2003)
さいたまの職人 民俗工芸実演公開の記録((埼玉県立民俗文化センター、1991)