久保佐四郎の猫
種類:練り物
制作地:東京
制作者:久保佐四郎(くぼ さしろう)
久保佐四朗明治5年(1872)−昭和19年(1944)、大正から昭和前期の東京都出身の人形作家。
京都の賀茂人形の流れをくみ、木目込み人形を完成させた人形作家吉野栄吉に師事し人形制作を学んだ。昭和3年に平野郷陽(ごうよう)ら6人の職人で白澤会(はくたくかい)を結成。創作人形運動をおこす。昭和11年になると帝国美術院展覧会に初めて人形の出品が許可され創作人形が工芸としての地位を得た。久保佐四朗は当時分業生産をおこなっていた人形制作をすべての工程を一人で仕上げるという手法をとり、作品に落款を入れるなど今日の人形作家としてのスタイルを築いた。昭和19年(1944)3月9日死去
はたして人形師の猫を郷土玩具図鑑に加えていいのか迷った。現在の多くの招き猫作家はこの図鑑では扱っていないが、東京の江戸玩具の様な位置づけになるので郷土玩具と同等に扱うことにした。時代はちょうど目呂二の百猫と重なり時代である。
手元には招き猫や猫の作品はないのでネットオークションで収集した画像が中心となる。したがって著作権上の問題はクリアーしていない。
唯一手元にある久保佐四朗の「犬抱き童子」を参考資料として掲載した。
久保佐四郎の招き猫 | |
旧Nさん所蔵品 諸国名玩集の中の一品 高さ43mm |
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裏に「東京」の栞がつく どこの猫だろうか? 今戸ではなさそうだ 江戸玩具の一品か? |
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底に「佐」の紙が貼ってあり、佐四朗作ということがわかる | |
昭和初期に久保佐四郎と吉田永光により 制作されたミニチュアの「諸国名玩集」 |
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現在も制作されている見慣れた郷土人形もある | |
別のセット(下) | |
同じく久保佐四郎と吉田永光により制作されたミニチュアの「諸国名玩集」 上の4枚の画像はセットになった中の招き猫 右はその中の羽織猫、馬には「仙台」とある |
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御殿犬? | |
これは「御殿犬」だろうか? 手元にある画像からは 「諸国名玩集」の中には確認できなかった |
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犬抱き童子(童女?) | |
人形自体が小さいので大型犬になってしまう | |
背面に金で銘が入る | |
裏面のサイン | |
犬抱きや猫抱きは郷土玩具にもよくある 郷土玩具集のひとつなのか、 創作人形のひとつなのかは不明 抱いているのは耳の形から犬(狆?)と思われるが、 柄は三毛になっている 背面に「佐四郎」の銘が入る 底面の紙には「佐」の文字がないので 諸国名玩集の作品ではないと思われる 高さ46mm×横28mm×奥行24mm |
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サイズ比較は500円硬貨 |
残念ながら久保佐四郎に関しての情報が少ない。ネット上にある情報もほとんどは単一の情報源であると思われる。
西沢笛畝の旧所蔵品が収蔵されているという、さいたま市岩槻人形博物館に行ってみようかと思っている。
参考文献
日本人形史(山田徳兵衛、1942 冨山房)