目呂二の招き猫と猫

 招き猫の灰皿

 目呂二の招き猫は芸者招きが有名だが他にも招き猫を製作しています。これは初めて見るものでほとんど知られていないのではないでしょうか。上目遣いのなかなか愛らしい猫です。
 この招き猫のアイデアはおそらく今戸人形の火入れがもとで、それを目呂二流にアレンジしたのではないかと推測されます。趣味の猫百種にも今戸人形が見られますので当然この火入れも持っていたと思われます。大きさもほぼ同じくらいです。今戸人形の泥臭さとは異なり、博多人形のような華やかな彩色がおもしろい招き猫です。背中には5cm程の孔が開けられており、タバコの受け口が付けられているそうですので、明らかに灰皿を意識して製作されたものと思われます。
 下の画像は目呂二関係者の所蔵品で傷や筆の流れから「猫の手帳」掲載のものと同一品と思われます。腰の赤い模様は牡丹ではないでしょうか。構造社展に出展された灰皿は清原ソロさん所蔵のもので首玉に模様がなく、首の鈴の下(左前足付け根)付近に茶色の斑点が描かれています。
 この灰皿は構造社展の図録によれば、素焼きに着彩で、大きさは17.0×16.0×11.0とあります。
 

目呂二作 招き猫の灰皿(火入れ?)
   高さ17.0cm
参考 吉田義和作「いまの人形」


追記(2006年6月28日)
 構造社展に出品されて招き猫の灰皿の画像です。資料性を高めるため少し大きめのサイズにしてあります。裏面の穴を見ると以前Uさんに指摘されたようにタバコ受けがあり、明らかに灰皿であることがわかります。
 裏を見ると今までわからなかった○に友の文字が刻んであります。おそらく今戸の丸〆をもじったものではないでしょうか。「友」の「ナ」の部分は〆に似ていますし、もしかすると「友を丸くまとめる」といった洒落なのかも知れません。裏底には猫珍奇林作と猫の足形が描いてあります。

右手挙げの横座り
煙草を置く受け皿がある 裏の刻印は「友」か?
 猫珍奇林の墨書きと肉球の印



猫の手あぶりその1
 大佛次郎は愛猫家でも有名で、今でも記念館には猫関係の物品が展示されているようである。その展示物の中の一品がこの猫あんかである。この猫あんかを手にかざす大佛次郎の写真も見た記憶がある。そのような猫あんかが2018年にホテル雅叙園東京で開催された「猫都の国宝展」で展示された。

大佛次郎愛用の猫あんか  
 作家、大佛次郎愛用の目呂二作の猫あんか  
背中や首玉はかなり丁寧に書き込んである
   
 香箱座りで眠り猫のようなスタイル
2箇所穴があり、手あぶりになっている
   



猫の手あぶりその2
 かなり前にネットオークションに出品されていたもの。
 三毛猫が身体を丸めて寝ているスタイルの手あぶり。

かなり前にネットオークションで収集した画像であり、連絡先がわかりません。もしご連絡いただければ正式に使用許可を申請いたします。

眠り猫の手あぶり  
スタイルは異なるが、背中の部分がふたになっている構造は
大佛次郎所有の猫あんかと同じ。
ふたの裏には「猫珍奇林作」の墨書き

最近の出品者の説明には
裏底にうっすらと文字があるが解読できないとあったが、

画像処理しても文字はわからなかった。
  ふたの裏
文字は確認できず  
  ちりめん絞り柄の首玉
大佛次郎所有品と異なり、本体にも穴がある  
共箱には『眠り猫』 『猫珍奇林作』の墨書き 
最近同じデザインの猫の手あぶりの別の出品があり、
こちらは共箱はなかったが、

ボール紙の箱には「お手阿●里猫」(おてあぶりねこ)
猫珍奇林作とあった(左画像)。

              (●は文字不明)
昭和25年頃の頒布会のもののようで、
サイズが幅24.5cm、奥行き18cm、高さ13.5cm、
重さやく2kg記入されています。

使用許可が得られれば、こちらの画像もアップしたいと思っています。
ぜひご連絡ください