目呂二『買い猫』帖
目呂二は入手した猫を丁寧に記録していました。これはその一部で大正11年の「買ひねこ」と大正12年の「猫快洞」(買ひ猫)の一部です。「猫快洞」は何と読むのでしょうか。
なお、文章は目呂二が主張していた左縦書きで書かれています。また、大正11年の「買ひねこ」中の記述からこの年より本格的に猫の蒐集をはじめたことがわかります。「目呂二抄」の年譜によれば、大正12年『目呂二、猫を愛し、文筆に製作に猫の作品多く、猫に関する玩具文献等蒐集する事などで、愛猫家と称せられる』とあります。まさにこれを証明するかのような記述となります。また「買ひねこ」には大正11年以前に入手したものも一部含まれています。
大正十一年
1 | 「買ひねこ」表紙 |
2 | 「買ひねこ」の中には版画で「猫快洞」の書票のようなものが貼り付けられている。 |
3 | 左は浅草仲見世で購入、右は三田村氏から贈られたものとある。あの三田村鳶魚だろうか。 |
4 | 右は埼玉の鴻ノ巣練り物。 |
5 | 左は鴻ノ巣練り物。これは現在の広田屋のものに似ているが広田や自体は戦後になって創業している。右は古賀だろうか。 |
6 | 高崎張り子で館林のツツジを見に行ったとき購入したとある。高崎少林山のだるま市に関して詳しく記述しているが、目呂二自身はこの時点では行ったことがないようだ。 |
7 | 住吉とある。かつてはこのような招き猫が存在したのだろう。 |
8 | 産地や購入地は書いていないが貯金玉になっている。 |
9 | 左は住吉で羽織と裃のお招きさんが混在している。 |
10 | 越谷の梅見の途中で購入したとある。笹にさがっているのは越谷の張り子か鴻ノ巣の練り物だろうか。 |
11 | 左は住吉。 |
12 | 左は目呂二作だがよくわからない。愛猫だろうか。その隣は射的人形。さらにその隣は神楽坂のおもちゃ屋で購入とある。神楽坂芸者がよく買っていったとある。 |
13 | 左は鯛をのぞき込んでいる猫の灰皿、右は綿細工の吊しもので飛鳥山のお花見で購入。 |
14 | 左は東京製の招き猫。どんな招き猫だったのだろうか。 |
15 | 左下は浅草の助さんとある。助六のことだろうか。 |
16 | 押すと舌を出したり、鳴くおもちゃ。 |
17 | 右は黒い箱に練り物の猫が「ニャー」といって飛び出すびっくり箱。昭和40年代頃まではあったようだ。 |
18 | いずれも東京。左のこたつ猫は助六あたりだろうか。 |
19 | 左は猫が描かれた輸出用のブリキの容器、右は日光銘木とかかれたおそらく杉の板に描かれた眠り猫 |
20 | 猫が描かれたタバコ入れだろうか。 |
21 | 左はろくろ首の猫で首が自由に動く。右は目呂二人形「火燵」の原画?。 |
22 | 左は道頓堀とある。羽織を着た住吉であろう。 |
23 | 左は輸出用だろうか。右は古いタイプの四天王寺「猫門の猫」。贈った山田みのるとは漫画家の山田みのるなのだろうか。 |
24 | 右は鴻ノ巣練り物の赤もの。 |
25 | 灰落としとある。裏に大きく穴が開いており今戸の火入れとつくりは似ている。日暮里で。 |
26 | 左はオルゴール入りとなっている。起き上がりになっているような形状なので、昔あった幼児用のおもちゃで揺れるとオルゴールのような音を出すおもちゃかもしれない。他に仲見世や流山で購入したものもある。 |
27 | 左は綿と布とボール紙でできた吊しもの。飛鳥山の花見で購入。右は常滑。今の常滑とはかなり異なる。 |
28 | 左は越谷、右は2つ住吉の初辰さん。右側は古い北尾製のようだ。 |
29 | 左は当時住んでいた近くの神田鍛冶町で購入のアメリカ製、右は三越で購入の日本製ぬいぐるみ。 |
30 | 左は住吉の初辰さんの古いタイプ。右は伊豆長岡。静岡か三河あたりの土人形だろうか。 |
31 | 右はよっぱらい猫。上野の夜店で。バネに練り物の招き猫が付いていてゆらゆら揺れる。いろいろな人形がバネの上に乗っていて、坂道をぴょんぴょん跳ねながら下りるものもあった。昭和40年代あたりまで見られた。 |
32 | 古賀の黒猫 |
33 | 「今年から猫を本気になって集め始めた」とある。 |
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大正十二年
1 | 「買ひねこ」 |
2 | 現在も制作されている金沢張り子。丸目で小判をくわえていない通常タイプ。 |
3 | 最近は見かけなくなった綿細工で着色した鳥の羽がついた竹の枝にさがっていたものと思わる。 |
4 | 木目込みの猫と食事場所でもらったのでしょうか天秤にのった猫のマッチです。 |
5 | 高崎とのことですが張り子でしょうか。 |
6 | これも高崎とのことですが、書いてある地名は入手先なので必ずしも産地とは限らないので注意が必要です。 |
7 | 左は陶製の招き猫で骨董市でたまに見かけます。何に使われたかわかりません。箸立てでしょうか。 |
8 | 右は米の粉を練ってつくった新粉細工です。まだ当時は東京でも盛んにつくられていたのでしょう。 |
9 | 名古屋で左は典型的な三河系土人形の招き猫。右は瀬戸焼。 |
10 | 左は名古屋で虎縞の入った典型的な三河の土人形の招き猫。 |
11 | 海外のおみやげでしょうか、それとも日本の輸出品でしょうか。 |
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不気味な顔をした猫はいったい何なのでしょうか。 |
13 | 「十二年中 貰ったり 買ったり」 |
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