2013年3月31日
毎年恒例中野のひな市に行き、思わぬ情報を入手しました。『ねこまたさん』そうあの猫又です。しかも毎年行っている中野市にそれはあったのです。
ひな市出品作品の確認をしているとき、いつも情報をいただいているNさんからホームページの写しを手渡されました。何と中野市にある中野西高校の近くに猫またの祠があり、しかも猫絵の版木もあるというのです。これは見に行くしかありません。
ひな市の用事も片付き、あまり遅くならないうちに行ってみることにしました。教えてもらった電話番号をナビに入れ検索すると見つかりました。中野市内にあるだけにそれほど遠くありません。早速行ってみることにしました。程なく中野西高校が見えてきました。目的地に近づくと「あった!」。目標になる表示用の杭が見つかりましたが、駐車スペースがない上にうしろに車がいたのでそのまま通過。しばらく行って戻ってきました。
車を降りて杭を見に行くとかすかに「猫またさん」の文字は読み取れるが、かなり剥がれ落ちており最初に教えてもらっていなければ通過してしまったはず。まして知らなければ何のためらいもなく通過してしまったはずだ。
「あった!」事前に画像を見ていなかったら見逃していた。まして通りがかりで見つけるのは今の状態では困難 |
これはNさんから話しに聞いていたように、草が伸びてくるとますます見えず楽なってくる。
先ほどまでの雨で草が濡れていたが奥に踏み入る。説明の看板がありその脇に小さな石の祠がある。これが猫またさんのようだ。小さな小さな祠で周りを見たが特に何か資料となる文字はなかったようだ。
奥に白い説明板が見える | 辛うじて猫の文字がわかる | |
「猫またさん」のいわれ | タマを葬った祠 | |
説明板を拡大する | ||
猫またさんとは 西間村の猫また伝説 昔、西間村にタマという猫が飼われていた。 おばあさんが嫁に来るとき連れてきたので かなり高齢であったが利口な猫だった。 ある春の日、村に義太夫の一座がやってきた。 家族はおばあさんを留守番に残し出かけていった。 残念がったおばあさんに タマが「義太夫を語ってあげましょう。ただしこのことはだれにも話してはならない」と 話しかけてきた。おばあさんは耳を疑ったがタマに約束して義太夫を聴いた。 翌日家族のものが義太夫の話しをしていると おばあさんはうっかりしてタマのことを話してしまった。 家の者はそういえば踊りをおどるタマを見たとか、 近所の猫を集めて何か伝授しているという タマの神通力に思い当たる節があった。 タマを猫又として恐れ近所の人たちと相談して射殺してしまった。 タマは自宅に手厚く葬られ、 その場所に石の祠を建て金花猫明神(ねこまたみょうじん)として祀った。 その後ネズミ除けに御利益があると評判になり、 大勢の人が訪れるようになった。 このうちではタマの姿絵を木版で摺って配り、 ネズミのでる所に貼ってネズミ除けとした。 「ふるさとの伝説と昔話」(中野市中央公民館 1987) およびHP FM長野『B-MAP NAGANO』より引用・編集 |
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行き方 中野駅方面からだと 北信濃くだもの街道を 中野西高校西で 斜め右方向の道に入る。 やがて道路の左側に 表示の杭が見えてくる。 (有)テックが目印(の反対側) |
小さな祠には文字は見あたらなかった したがって 時代はいつのものなのかわからない。 3月だったのでわかりやすかったが、 草の多い時期だと 草に覆われてしまうと思われる |
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猫またさんの祠 |
さて猫絵はというと近所のお宅に保管されているという。情報を頼りに飛び込みでチャイムを押してうかがった。
女性の方に対応していただいた。話しをするとすぐに用件が伝わった。奥から版木の入った紙袋を持ってきてくれた。あった!猫絵の版木。版木の左上には金花猫明神の文字。いつだれが彫ったかはわからないという。版木の裏を見ると罫線がある。いわゆる原稿用紙の版木の裏面を利用したようだ。おばあさんの代ではネズミに困っているご近所にあげ、感謝されたという。
「FM局で紹介されたので以前にも尋ねてきた方がいます」という。よくよく話を聞いてみると「多分その方からうかがったんです」と私。やはりここまでして版木を見たり猫絵を入手しようとしてやってくる物好きはそれほど多くないようだ。
「家で摺ってみたのですがうまく摺れません。どうしたらうまく摺れますかね?」と逆に質問されてしまった。余りよい出来ではないのですがという猫絵をいただいてしまった。ついでに資料のコピーもいただいてしまった。
ありがとうございました。
どなたか木版のきれいな刷り方を伝授できる方はいないですかね。
猫絵の護符を拡大する | 版木全体 | 版木 猫頭部 |
残念ながら年号や 彫師の名前などは 入っていませんでした。 |
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猫絵の版木の裏 | 猫またさんが載っている冊子 |
今後、いただいたコピーがサイズ切れのため、一部切れており、猫またさんが掲載されている資料「ふるさとの伝説と昔話」の完全コピーを入手する必要がある。次に中野に行ったときの課題だ。
案内には『猫またさん』と表示があります。
金花猫明神(ねこまたみょうじん)読むそうです。
参考資料 B-MAP NAGANO FILE NO.63
「ふるさとの伝説と昔話」(中野市中央公民館 1982)