=^・^= 三光稲荷神社に偵察に行く
10月4日に日本招き猫倶楽部の荒川千尋さんから次のようなメールが入っていました。
別件ですが、ある猫サイトで今まで知らなかった「猫寺社」の記述を発見。日本橋の三光稲荷は、戦前まで招き猫の絵馬をあげていたとのこと。何かご存知ないでしょうか? 以下はサイトからの引用です。
昔は,迷い猫を祈祷する神社もあったそうです。 東京日本橋の三光様という稲荷神社では,戦前まで迷い猫のご祈祷をしていたそうです。招き猫の絵馬をあげて猫のこと一切の祈祷をし,“三光新道のニャン公さま”と愛称されていたそうです。 現在は,人形町3丁目2の番地で,その碑しかないそうですが,すると,昔のほうが猫のことを可愛がったのか,戦後の科学万能主義ですたれたのかと思います。 現在も,場所を変えて三光神社はあるが,もう猫絵馬の俗信はやっていないといいます。 (後略)
私は行ったことはありませんが、後略の部分も含めどこかで読んだような気がします。そんなとき参考になるのはネコに関する民俗学の古典的バイブルとでも言うべき「猫の民俗学」(大木卓)です。捜してみるとありました。上記の猫サイトはこの猫の民俗学を参考にしていることがわかりました。
これは行ってみるしかないということで、さっそく10月6日(土)に出かけてみることにしました。
その前に下調べです。ネットを使って場所の確認と何か情報はないかと調べてみると、ヒットしました。
100回連載の内容を見るとけっこう知っているものや今でも続いているものが多くあります。ちなみに第1回は
浅草公園弁天山下の粂の平内(縁結び、諸願)です。私の近く(東京、板橋区)ではやはり有名な「縁切り榎」(これもかつては絵馬があった)が載っていました。
東京の迷信 (「東京朝日新聞」連載)東京の迷信 (「東京朝日新聞」百回連載。明治40年11月3日〜明治41年2月16日) (三十八)▲三光(くわう)稲荷(犬猫の病) 日本橋区長谷川町の横町に三光稲荷といふものがある、稲荷様が犬猫の病を治すといふのが変つてゐる、芸妓子供折々参詣するさうだ、所が近来犬ころや猫子を境内へ捨る者が多いので、神官大に面喰つて「境内へ犬猫を捨ること無用」といふ掲示を出した、堂の周囲(まはり)には犬と猫の額面が隙間もなく打付けられてある(「東京朝日新聞」明治40年12月12日) 日本文学学術的電子図書館 J-textより http://www.j-text.com/meiji/meishin.html |
この新聞記事を見てもわかるように本来は犬猫の病を治すのを祈願していたのが、いつの時代も世の常で「捨て猫、捨て犬」の猫寺になっていったようです。いつのころか失せ猫の祈願も加わり、すっかり昭和にはいると「猫がいなくなったときには・・・三光様」となっていったようです。いつのころから、犬がなくなって猫専門になったのでしょうか。
それはともかく、後は実行あるのみです。土曜日の仕事が終わってから、いそいそと日本橋に出かけていきました。さすが土曜日とあって人通りも車の通りも少な目です。住所を頼りに捜すと三光稲荷神社の表示がすぐ目に入りました。狭い路地のような通りの途中に三光稲荷神社はありました。小さい!。かつて日本橋七福神巡りをしたときにこの近辺は小さな神社が多いことは経験済みだったが、まさにひっそり隠れるようにいった雰囲気でした。下の写真はなぜ縦構図が多いのかというと、道が狭いので離れて撮影できずどうしても縦になってしまうのです。鳥居の脇には立派な狛犬が鎮座しています。何か招き猫関連のことがわからないかといろいろ見回してみましたがその面影もありません。近所を散策してみましたがやはり猫に関することは何もわかりませんでした。でもやたら神社の近くには生猫が目立ちます。実はこの日はデジカメのバッテリー切れでほとんど撮影できず、翌週もう1回撮影に行っているのです。どうせなら社務所で何かわからないかと御朱印帳を持って伺いに行ったのですが、この近辺の小さな神社は神主はふだんはおらず、祭礼など特別なときだけ見えると言うことで、御朱印もないといわれてしまいました。残念ながら三光稲荷神社ではまったく招き猫に関する情報を得ることはできませんでした。
神社入り口 | 出迎えてくれた近所の黒トラ | |
左上 三光稲荷神社通り? あるいは(三光新道: さんこうしんどう、 さんこうじんどう)入り口 上中央 神社入り口 右上 やたら猫が目立つ 下左 神社本殿 下中央 小さいが堂々とした造り |
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神社本殿 |
ちなみに先の「猫の民俗学」(大木卓 1979 田畑書店)によれば『猫の小絵馬』(ねこ26号 北条時宗 1961)や「絵馬鑑」第二之三(大正7 郷土趣味社)に三光神社の絵馬に関して紹介されているようなので、時間があったら調べてみようと思っています。
なお三光神社は猫雑誌「猫びより」2001年冬号にもちょうど失せ猫関係の神社として紹介されていました。
三光稲荷神社 東京都中央区日本橋堀留町2丁目1番13号 (リンク切れ)
住居表示の変遷に関しては次のサイトが詳しい http://www.nihonbashi.gr.jp/history/history_12.html リンク切れ