銀座猫 「しーちゃん・みーちゃん」追悼特集

          ボザール・ミューの閉廊・そしてシャトン・ド・ミューの誕生


 2013年シャトン・ドミューが誕生した。あまりにも有名だった猫専門画廊ボザール・ミューの後にボザール・ミューから巣立った作家さん達が中心になって立ち上げた新ギャラリーだ。
 そのオープニングは「しーちゃん・みーちゃん&銀座の猫展」だ。実質的にみーちゃん・しーちゃんの追悼展となっている。
 この地域で有名だった地域猫の2匹が昨年2012年相次いで亡くなった。「ねこれくと」でも追悼特集を組むつもりでいたが延び延びになっていた。そんなときボザール・ミューの閉廊とシャトン・ド・ミューの開館の情報が入ってきた。しかも幕開けはみーちゃん・しーちゃんの追悼特集ということでこれに合わせて特集を組むことにした。

案内状 記念のカレンダー


 みーちゃん 三毛のメスでかなり高齢だったはず。蕎麦のいけたに開店当時からいるらしい。
 しーちゃん 白ベースの赤しま斑点のオス猫。本名しんちゃん。

 山中翔之郎さんのポストカードから
 

2013年9月 日シャトンドミューにいった。
正面の壁にある絵が目に入る。
しーちゃんとみーちゃんが蘇ったような山中翔之郎さんのパステル画だ。
ちょうど山中さんが在廊していて説明してくれた。

 目の輝きがいい。「See you・・・・」まさにこんな感じだった。
この作品は買い手が付いていた。

 「忘れないで・・・」のみーちゃんは天国の花に包まれたイメージだそうだ。
 「宙花(そらばな)に包まれて」の星になって振り返ったしーちゃんは
何となく「さよなら」をいっているようでもの悲しい。

 これらの作品群については山中さんのブログで詳しく書かれている。 



 山中翔之郎さんのブログ
「お出迎え しーちゃん」 「See you・・・」
「宙花(そらばな)に包まれて」 「忘れないで・・・」
ほらっ!いい瞳でしょ。 
原画はもっとすばらしい。



振り返ったしーちゃんが
お別れを言っているようだ。


 ボザールミューには基本的には佐山さんの個展に来るだけなのであまり回数が多いわけではない。その中からしーちゃんみーちゃんを日記や画像から拾ってみると

2007年9月2日
 最初ににーちゃんとしーちゃんを見たのはいつだろう。画像や過去の記録を調べてみると、2007年の9月2日にしーちゃんを見たのが最初のようだ。

 2007年9月2日    
 定番の自転車がない!    
アクビ一発 北海道のノラ君を思わせる寝相だ

2008年12月7日
 翌年みーちゃんを見かけている。

 2008年12月7日  
   冬の日射しを浴びて


 そして1年が過ぎ

2009年12月6日

 
   このしっぽがチャームポイント  
   背中の模様がよくわかるでしょ  


2010年6月19日
 山中さんのブログにもあるとおり、ビルの前には必ずといっていいほど自転車が止まっている。そしてギャラリーの看板。しーちゃん・自転車・看板は三点セットとなっているのである。

2010年6月19日
しーちゃんと看板と自転車 うーん、この感触
常に警戒は怠らない
たまにしか来ない者にとって、みーちゃんしーちゃんのツーショットは珍しい


2011年6月18日
 外で三毛猫が女性にかまわれていた。
 ボザール・ミューに外猫の写真が2枚あった。ミューのオーナー宮地さんにうかがうとご近所猫で先ほど外にいた三毛の方が「みーちゃん」、もう一匹が「しーちゃん」というのだそうだ。佐山さんの作品もこの二匹を描いたものだった。みーちゃんは結構な歳だそうだ。これからも元気で暮らしてほしい。

 外に出ると先ほどとは違う茶色の毛が混じったネコ君だ。これが「しーちゃん」。早速持ってきたカリカリをあげる。ちょっと食べてやめてしまう。けっこうエサをもらっているようだ。この猫以前の写真を捜してみたらすでに2年以上前に相手にしていた。かなり長く居着いているようだ。ちなみに昨年はみーちゃんだった。車の下にみーちゃんもいた。同時に見ることはこれまでなかった珍しい光景だ。暑い夏を乗り切ってまた冬に会おう!

2011年6月18日
ビルの前でかまわれるみーちゃん
何?! ピクッ!
何か用? こちらみーちゃん 奥の無線機のようなものは何だろう
 このころ佐山さんは日本画を始めた。そのモデルになって展示された。
今回の追悼展でこの作品を見たかったがあらためてよく見ると
赤いピンが刺してあり売約済みであることがわかる。
この時初めて2匹の名前を知ったのかもしれない。もっとしっかり撮影しておくべきだった。


2011年12月4日
 2011年の年末恒例、佐山さんの個展。
 今日もビルの前には猫くんがいる。今日の銀座猫は三毛猫のみ-ちゃんだ。個展を見に来たと思われる女性陣のモデルとなっていた。帰りにかまってやろう。
 しかし帰りはしーちゃんに入れ替わっていた。
 銀座にはけっこう地域猫がいるらしい。決して住みやすい街ではないような気がするが夜は人少なくなり自由に歩き回れるのだろう。そんな銀座の街の地域猫がみーちゃんとしーちゃんだ。この猫たちは佐山さんの日本画の題材にもなっている。

 ギャラリー会場での話しでは
  ・みーちゃんには兄弟猫がいるらしい。
  ・なかなかグルメでフランス料理のシェフやいろいろな人がエサを与えているらしい。
  ・「私よりいいものを食べている」

 ところでしーちゃんは負傷していた。ノラネコの勲章のような耳の切れもあるがついに目を負傷してしまった。11月ころ左目負傷で眼球摘出の手術を受けまだ痛々しい姿であった。観察していた女性によれば、からだに残る傷の様子からけっこうケンカは強そうなんだそうだ。片目だと距離感がつかめない。うまく生活できるのだろうか。がんばれしーちゃん。

2011年12月4日
元気だったけど、 これが見納めになった
けがはしたけど元気
左目を失ってもしたたかに生きる銀座猫しーちゃん

 
2012年6月24日
 しーちゃん実は猫の手帖に載ったこともあったのだ。今まで知らなかったが、「日本全国 ニャン遊記」を見ていたら出ていた。平日は1階の蕎麦屋「いけたに」で世話になり、土日はボザール・ミューの宮地さんがエサ当番ということだ。

 
 猫の手帖に載ったしーちゃん
「日本全国 ニャン遊記」(どうぶつ出版)より


 このしーちゃん、昨年の秋にケンカで左目を負傷した。化膿してきたので眼球摘出の手術を受けたということなのだ。車の通りも多いのでみんな心配したようだがちゃんと左右を見て道を渡り、元気で不自由なくいつもと変わらぬ生活をしているようだ。なお本名は新猫の新ちゃんなのだそうだ。
 なお、みーちゃんは今回と見かけなかった。(この時点では亡くなっていることを知らなかった)

 2012年6月24日    
 道ばたで堂々とお休み中    
 自転車のそばで昼寝中    目の傷が癒えたしーちゃん。


2012年12月2日
 そして2012年佐山さんの年末恒例の個展に行くと、ビルの前に花が飾ってあった。しーちゃんが亡くなった。11月25日!ちょうど一週間前だ。 しかもみーちゃんも3月に亡くなっていたというのだ。

 2012年12月2日    
 入り口には花が・・・・    そして思い出の写真が


 ネット検索してみたら「銀座そば処いけたに」のツイッターに次のような書き込みを見つけた。

2012年
11月7日
 【拡散希望】銀座7丁目ソニー通りの地域猫のしんちゃん(しーちゃん)病気の為自宅療養中でしたが、今日と明日の2日間お店前に戻ってきています。ぜひ会いに来て下さい♪
2012年
11月26日
 銀座そば処いけたにの店前にいつもおりました猫のしんちゃん(しーちゃん)が闘病の末、昨日永眠いたしました。可愛がってくださった皆様ありがとうございました<(_ _)>
2012年
12月11日
 返事遅くなりました。実はみーちゃんのほうが先に3月に老衰で亡くなりました。み~ちゃんもうちの父の自宅で看病していて、もう駄目だろうという前日銀座の空気を吸いに一日だけ連れてきてもらいたくさんの人に逢って次の日に旅立って行きました。



 しーちゃんは自宅療養中、11月7・8日店に戻っている。きっとみーちゃんと同じように生まれ育った銀座の空気を吸わせてあげようという池谷さんの心遣いだったのだろう。
 そして亡くなった翌日11月26日に訃報がでています。
 さらに12月11日の返信中の言葉からみーちゃんは老衰で亡くなったということだが、3ヶ月前の12月には元気にしていたのを見かけているので亡くなったのが信じられない。そして亡くなる前日銀座に最後のお別れに連れて来てもらっていたことから、最期を看取った池谷さんの優しさがうかがえる。ちなみにみーちゃんは「いけたに」が開店した当時からいたということを聞いた。かなり高齢だったのだろう。

 こんど「いけたに」に食べに行ってうかがってみよう。


2013年6月15日
 もうみーちゃんもしーちゃんも会うことはできない。
 佐山さんの個展に出かけた。

 2013年6月15日    
   丸ちゃん  丸ちゃんはいなかった

 2月ころから丸ちゃんという猫が時々来ているのだそうだ。宮地さんと見に行ったがいなかった。

 ここでさらに衝撃的な事実が。ボザールミューが閉廊するというのだ。宮地さんも高齢になりちょうど30年の節目に閉じるのだという。
 まだこの時点ではHPではアナウンスされていなかった。

 しかし佐山さんの話ではこの同じ場所で作家さん達が集まって今までと同じような発表の場を維持していくのだそうだ。
 個人画廊という形態はとらないがあらたに「シャトン・ド・ミュー」という猫専門ギャラリー+ショップとして9月にオープンするのだそうだ。
 しかもオープニングは『しーちゃんみーちゃん追悼・銀座の猫展』。

 そのような訳で延び延びになっていたしーちゃんみーちゃんの追悼ページを先延ばしして、この展示を待って作成、アップしたのです。

 ボザール・ミューの閉廊  
 ボザール・ミューHP最後の日    2013年6月30日 
そして新たなスタート

 6月の最後の日、記録のためボザールミューのミュートークをすべてダウンロードする。そして何事もなかったように翌7月1日ボザールミューのHPは閉鎖された。

9月1日、シャトン・ド・ミュー開廊
 開廊の翌週シャトン・ド・ミューに出かけた。ギャラリーのあるビルを取り囲むように位置している資生堂本社ビルもその姿を現してきた。

資生堂本社ビル
ビルは変わりなく、 、「いけたに」も変わらず、 看板は変わっても、
そしてシャトン・ド・ミューは
誕生した。
 以前と変わらず看板が立ち、自転車がある    丸ちゃんは看板猫になってくれるだろうか
   名称は変わったが以前のようにいずれ案内でいっぱいになるかな?
 正面のしーちゃんが目を引く    
 
    丸ちゃんらしき猫もいる 
 佐山さんの立体みーちゃん、しーちゃん  「おつとめ中’09」→
 「いけたに」に展示されているそうだ
 さりげなくしーちゃんの写真が   説明していただいた山中さん 
 入って左手がギャラリー、右手はショップ    
 
 見つめられた  ふだんのお勤め風景だが何かもの悲しい  
版画が好きである。
木版画が好きである。
そして銅版画のメゾチントが好きである。
最初に買った版画がメゾチントであった。
会場で佐藤恵美さんの
小さな版画が目に止まった。

猫たちのしなやかな毛並みが
細い線で表現されていた。
散々見比べて、会ったことが多かった
しーちゃんを購入した。
でもやはり2匹対で飾るべきだろう。
会期が過ぎてから
佐藤さんのブログで問い合わせて。
みーちゃんのEd.1を手に入れた。
2匹対で我が家に来ることになった。  
 「銀座小町」みーちゃん  「アーモンドな瞳」しーちゃん
 
  こちらはショップの猫の引き出し  またこれまでと同じように通うことだろう 
 
 オーナーや名称が変わってもみんな猫好きということには変わりがない  いけたに
   ビルの前では
またこの案内板と
だれの自転車かわかりないが
出迎えてくれるはず。


2013年12月26日加筆
11月17日(日)、9月に購入したしーちゃんとその後追加注文したみーちゃんの銅版画を受け取りに行く。 
スキャンした画像なので先にデジカメで撮影したものより毛並みが鮮明にわかる。
佐山さんと話しをしたときにも佐藤恵美さんの作品の猫の毛並み(この作品ではないが)には感心していた。
メゾチントという表現方法は手間がかかるが猫の毛並みをモノクロームで表現するには
ひじょうに適した手法のように思う。
我が家で階段を昇降する際、いつも2匹と目を合わせることになりそうだ。
しーちゃん『アーモンドな瞳』とみーちゃん『銀座小町』 
 しーちゃん 『アーモンドな瞳』
みーちゃん 『銀座小町』

メゾチント(銅版画)によるしーちゃんとみーちゃん  佐藤恵美作 




ボザール・ミューは宮地さんの熱意で30年続き、
そしてその歴史に幕を閉じた。
長い間ご苦労様でした。
そして新たにボザールミューという子猫が生まれた。 

そのような中で多くの人が
しーちゃんとみーちゃんという
二匹に出会えた。
しーちゃんみーちゃんは長旅ではなく永旅に出た。

 しーちゃんみーちゃんは
いつまでもみんなの記憶の中に生きているのだ
たぶん池谷さんの作だろう

みんなぁ~~ありがとう♪
ちょっと永旅に出るけど
又、みんなに逢えたらいいなぁ~~ (=^・^=)
2012.11.25  しん


 いつかきっと逢えるね!